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顔色が悪いだけじゃありません。
痩せて目がどろりとしていて、入ってきた私にも気づきません。
私は、震える手でペットボトルとお弁当を1つ棚から取り、レジに向かいました。
「・・・510円になります。」
笑顔もない弟。
私を見ようともしない弟。
きっと、父や母もこの弟と顔をほとんど合わせていないんだ、だから気づかないんだ。
「割り箸はご入り用ですか。」
マニュアル通りに聞いてくる弟に、小さく「はい。」と答えると、弟はカウンターの中の引き出しを開けました。
そして、割り箸を出そうとしました。
おそらく。
なのに、急に手をバタバタと振り始めたのです。
何かを追い払うように。
それから、ようやく割り箸を一膳出し、お弁当と一緒に袋に入れました。
「・・・何がいたの?」
私が怖々声をかけると、ようやく顔を上げた弟は私だと認識したようです。
それで安心したのか、辛そうに訴えました。
「虫が・・・ゴキブリがあちこちに出て・・・大変なんだ・・・割り箸は、さ、ビニールに入ってるから、大丈夫だよ・・・」
そう言いながら、今度はレジの横を手で払いました。
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