第1章

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薬の副作用で、弟たちバイトの子は幻覚を見るようになっていたようで、痩せたのも薬のせいでした。 自分の子らにも食事か何かに薬を混ぜて飲ませていた店長さんは、奥さんの遺体を子供たちが発見するのを恐れていたのでしょうか。 それとも、自分から離れていくのが耐えられないほど恐ろしかったのでしょうか。 ほどなく、症状の軽い子たちは退院しました。 でも、弟は体質が合わなかったのか、それとも他の人より大量に飲んでいたからか、症状の改善が思わしくありませんでした。 さらに、懐いていた店長さんの所行にショックを受けて、すっかり人が変わったようになってしまいました。 そして、退院した今。 部屋に閉じこもって泣いています。 本当に虫はいたんだと、自分の回りを這い回っていたんだと、ずっと言い続けています。 その虫は、この家にも、自分の部屋にもいるとも言います。 私には見えません。 家族の誰にも見えません。
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