落下

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「穂香、これありがとう」 選択科目の違いとかで結局、お昼まで穂香と話せなかった。 「それで、読まないの?」 「え? あぁ、昨日の夕方からこれの調子悪くてさぁ…」 今日の変な空気、まだ読んでない中に何かが、 「そんなに都合よく壊れる? 今使えてるのに?」 「まぁ、原因は大したことなかったんだけど」 「言い訳もその辺が限界じゃない?」 こんなキツイ穂香は初めてかも知れない。 読めたのはここまでで確か、落としたのはこの時間。 「ごめん、誘ってくれてたんだ」 「そこから、スルーとかないんじゃない?」 「いや、だから、調子が」 「待ってたんだよ、島崎くん」 「島崎…、誘ってくれたの穂香だよね?」 「島崎くんが、えいみと話がしたいからってたのまれたの」 「なんで? 穂香と仲いいのは知ってるけど、話するだけだったら隠さなくても」 「秘密にして、二人で話たいことがあるって、この意味分かるよね」 「あ、いや、それは聞いてみないとあれだし…、できれば仕切り直しを…」 「そんなのできるはず、ないでしょ、私の気持ちも考えて」 走り去る穂香の瞳には複雑な涙…、 追えなかった。 これ以来、穂香を含む今まで仲良くしていたグループとは何となく気まずくなった。
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