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膝を抱えて、シイの伸ばされた太腿の上の手を見やる。
細くて、日光の影響なんて全く受けていないような白い肌。
それなのに、指はちゃんと長くて角ばっていて、彼はれっきとした男の子なんだなあと思い知る。
膝を抱く私のちんまりと肉の乗った掌とは全然違う。
触れられた前髪に、熱を感じる。
髪に神経でも通っているかのようだ。温もりなんて検知出来ないはずなのに、シイに触れられただけで、こんなにものぼせる。
ああ、好きなんだなあ。
そう思い知る。
ふと空を仰いでも、花はどこにも咲いていない。
そのことが少し寂しいけれど、ここがどこだっていい。
隣に、この人がいてくれるなら。
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