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ここにいれば、間違いない。
「君、どうしたの?」
聞き覚えのある声。
よし、作戦決行だ。
「あ、あの、これ受け取ってください!」
精一杯の裏声を使って、持っていたハートの箱を押し付ける。
「えっ?」
困惑しているが任務完了。
これ以上いるのもアレだし、さっさと帰るか。
チョコを渡した相手は兄貴。
兄貴良い奴なのに、からっきしモテない。
だから、今日ばかりは弟として良い夢を見せてやると決めて、こうして女装までした。
「ま、待って! その、ありがとな!」
呼び止められて振り返れば、ピースに超笑顔。これはバレたな。
まぁ、明かすつもりは毛頭ないし、いいや。
―帰宅後――
「知らない子にチョコ貰った。にしても可愛かったなぁ」
全く気付いていなかった。
「……だから、モテない」
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