第1章

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ここにいれば、間違いない。 「君、どうしたの?」 聞き覚えのある声。 よし、作戦決行だ。 「あ、あの、これ受け取ってください!」 精一杯の裏声を使って、持っていたハートの箱を押し付ける。 「えっ?」 困惑しているが任務完了。 これ以上いるのもアレだし、さっさと帰るか。 チョコを渡した相手は兄貴。 兄貴良い奴なのに、からっきしモテない。 だから、今日ばかりは弟として良い夢を見せてやると決めて、こうして女装までした。 「ま、待って! その、ありがとな!」 呼び止められて振り返れば、ピースに超笑顔。これはバレたな。 まぁ、明かすつもりは毛頭ないし、いいや。 ―帰宅後―― 「知らない子にチョコ貰った。にしても可愛かったなぁ」 全く気付いていなかった。 「……だから、モテない」 .
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