十一 パズル

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 模試で思い出した。 「あのね、あの日受けた模試のクラスにいたんだ。この人」 「中学生の模試にか?」  竜平が訝しげに問い返す。 「うん。高校生の補習組も同じ模試を受けなきゃいけなくってさ、けっこう鬼畜な仕打ちだって、高校生がブーブー言っていましたよ」  しかし塾にも友人などいない尚には、誰が中等部で誰が高等部なのか、また誰が他校の生徒なのかすらわかっていなかったし、興味もない。  それではなぜ印象に残っているのだろう。 「塾の中ではちょっとお洒落な感じだった。こんな髪型じゃなくて、黒髪で。不自然な黒だったから憶えてる。  そうそう、如何にも黒に染めたって感じのマットな青黒いブラックヘアーが印象に残ったんです」  写真の少年のどこを見ているのかわからない目。それもそのままそっくりだ。 「間違いないです」  強く確信した。  模試は先月の二十九日。まだこの日は彼らは家族ごっこの途中だったのだろうか。  この日からわずか一週間足らずで、相良は手配され、美継は『探さないで』の言葉と共に子供を棄てたのだ。
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