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龍也から受け取った用紙を一瞥して、竜平は単刀直入に尋ねた。
「ナオ、どのタイプの疾患か、話せるか?
性の症状は遺伝子レベルのものから、ホルモンの受容体に関するもの、解剖学的なもの、その個人差が大きいからね」
そして用紙を龍也につき返す。
これは、龍也と尚の契約書だから。
「しかし僕は病理に関して、偏見の目は一切持たない」
冷静に言い放った。
竜平の口調は、決して優しくはない。
けれど、大学病院の内分泌科医の優しい口調には、寧ろ嫌悪を抱いていた。
医者は、今、竜平が説明した内容と似たようなことを分かりやすく説明してくれた。
その時の診察を思い出す。
尚の目が、少し陰った。
「僕は部分型だそうです。アンドロ何とかっていう、男性ホルモンの、その受容体が一部機能していない病気で……」
「部分型アンドロゲン不応症?」
竜平が腕組みをした。
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