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「僕は、……このままの僕でいたいんです。
生まれてから病気に気付いた十一歳まで、自分のことを男だとか女だとか、特に気にしたことが無かったから。
いざ、男になれって言われても……まだ、子供が欲しいとかも考えられないし」
「誰かに恋すりゃ、自分が男か女かわかるさ」
龍也が自信満々に親指を立てた。
「ゲイはどうなる?」
竜平がふんっ、と鼻を鳴らした。
「いや、ナオはナオって人間なんだよ。身体が悪くなるとかじゃなきゃよ、どちらでもいい、いやどうでもいいって意味じゃねえぜ。ああ、うまく言えねええ~
つまりさ、ムッキムキのナオになっても、ボイーンなナオになっても、今のまんまのナオでも、ナオが選んだナオなら、」
「お前の言うことは、まるでわからん」
言葉を選び過ぎて、支離滅裂な慰め方をする龍也を竜平が冷たく遮った。
「ナオの好きな自分自身でいろ。
僕らはそれを否定しない。悩みだって聞いてやる。安心しろ」
「そ、それ! ナオ、安心しろ」
竜平のセリフを繰り返し、龍也が尚の頭を撫でた。
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