四 尚の秘密

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「僕は、……このままの僕でいたいんです。  生まれてから病気に気付いた十一歳まで、自分のことを男だとか女だとか、特に気にしたことが無かったから。  いざ、男になれって言われても……まだ、子供が欲しいとかも考えられないし」 「誰かに恋すりゃ、自分が男か女かわかるさ」  龍也が自信満々に親指を立てた。 「ゲイはどうなる?」  竜平がふんっ、と鼻を鳴らした。 「いや、ナオはナオって人間なんだよ。身体が悪くなるとかじゃなきゃよ、どちらでもいい、いやどうでもいいって意味じゃねえぜ。ああ、うまく言えねええ~  つまりさ、ムッキムキのナオになっても、ボイーンなナオになっても、今のまんまのナオでも、ナオが選んだナオなら、」 「お前の言うことは、まるでわからん」  言葉を選び過ぎて、支離滅裂な慰め方をする龍也を竜平が冷たく遮った。 「ナオの好きな自分自身でいろ。  僕らはそれを否定しない。悩みだって聞いてやる。安心しろ」 「そ、それ! ナオ、安心しろ」  竜平のセリフを繰り返し、龍也が尚の頭を撫でた。
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