四 尚の秘密

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 龍也の大きな手が、尚の頭をくしゃくしゃにする。  尚は戸惑うように、けれど少し嬉しそうに肩をすくめた。 「安心していいんだ」  蛍光灯が一本足りないだけで、薄暗く感じていた部屋が、とても居心地のいい場所に思えてきた。 「じゃあ、ナオは今日から、我らがお友達倶楽部のメンバーだ」  龍也が、尚の契約書を別のファイルに綴じた。 「あの、お金は明日でもいいですか?」  尚が上目遣いに龍也を見た。 「いいぜ」  しばらく気まずい沈黙が続く。 「なあ、ナオは塾に行っているのか?」  竜平が切り出した。 「はい。北口の、東一ゼミナールに月曜と木曜」 「ふーん」 「なんだ? それがどうしたってんだ」  龍也が、口を挟んだ。 「月謝は、振り込み?」  龍也をフル無視して、竜平が質問を続ける。 「いえ、月謝袋で。僕が母さんに直接……あ、」
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