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尚は、竜平が何を言わんとしているのかを察した。
「親に内緒で、塾を週一に減らせ。
なら、簡単に金は作れる」
「でも」
親を騙す案に、尚は躊躇した。
「成績が上がればいいのだろう?」
竜平がテーブルに肘をつき、両手を組んだ。
「僕が教えてやろう。基礎から応用、勉強のやり方まで。
塾なんかよりすぐに成績が上がる。
次の中間テストで、結果を出してやる」
尚の表情が明るくなった。
成績優秀の生徒会長。確か、彼は常時トップクラスにいる。
彼がマンツーマンで教えてくれると言うのなら、塾での息の詰まる授業より、よっぽど良さそうだ。
「おお! ナイスアイデア!」
パン、と龍也が手を叩いた。
「タツ、お前も一緒に勉強するか?」
「…………いや、いい」
龍也はおとなしく立ち上がって、ソファー後ろのオフィス机の引き出しを開けた。
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