四 尚の秘密

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 千差万別の症状は、患者の数だけ、その受け入れ方も違うということだ。  どんな選択をしようが、そこに〈変〉なんて選択は無いのだと、竜平は思った。 「ナオ、君が健康でいられれば、どんな選択だって正しいと、僕は思う。  だが、今は体が変化する年代でもあるんだ。  体調が良くなければ、必ず教えろ。  僕が言いたいことは、それだけだ」  こんな言い方しか、自分にはできない。  それでも、尚には伝わったのだろう。  目の前の美少年は、満面の笑みを湛えているのだから。  チリリリ♪  龍也のポケットから、着信音が鳴った。 「お、次郎長」  龍也がスマホを取り出しイヤホンを着け、しゃべり出した。 「ちょい、待ってな。新入りさんが来たんだ。  うん、男……。いや、中三。  ああ、後でスカイプ繋ぐ?」  しゃべっている間も、せわしなくデスクの引き出しをがさがさと、引っ掻き回す。 「次郎長さん?」  なんて古風な名前だろう。 「ん? 清水って奴。  俺たちは『次郎長』って呼んでいるんだが、タツのゲーム友達さ」
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