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千差万別の症状は、患者の数だけ、その受け入れ方も違うということだ。
どんな選択をしようが、そこに〈変〉なんて選択は無いのだと、竜平は思った。
「ナオ、君が健康でいられれば、どんな選択だって正しいと、僕は思う。
だが、今は体が変化する年代でもあるんだ。
体調が良くなければ、必ず教えろ。
僕が言いたいことは、それだけだ」
こんな言い方しか、自分にはできない。
それでも、尚には伝わったのだろう。
目の前の美少年は、満面の笑みを湛えているのだから。
チリリリ♪
龍也のポケットから、着信音が鳴った。
「お、次郎長」
龍也がスマホを取り出しイヤホンを着け、しゃべり出した。
「ちょい、待ってな。新入りさんが来たんだ。
うん、男……。いや、中三。
ああ、後でスカイプ繋ぐ?」
しゃべっている間も、せわしなくデスクの引き出しをがさがさと、引っ掻き回す。
「次郎長さん?」
なんて古風な名前だろう。
「ん? 清水って奴。
俺たちは『次郎長』って呼んでいるんだが、タツのゲーム友達さ」
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