四 尚の秘密

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「はははは、相変わらずだな。  じゃあ、四時に戦場で」  龍也が笑いながらイヤホンを外した。 「あの……、僕、お邪魔だった?」  会話が途切れたことに、尚は遠慮を感じた。 「いや、いいんだ。  次郎長は、ナオ以上に照れ屋だからさ。  今日は部屋も髪もぐしゃっていて、会えないってよ」 「会わなくても、ライン通話だけでもいいじゃないか」  竜平が立ち上がり、オフィス机にあるパソコンの電源を入れた。  ソファーの奥には、オフィス机が向かい合わせに二台。一台にはパソコン、一台には大きなモニターとゲーム機が載っていた。  尚は改めて、部屋の中を見渡した。  壁際には壁面収納。  無造作に置かれた様々な物。ノートパソコンからゲームソフト、半貴石の原石にアジアンテイストな置物、化粧品は未沙のモノだろうか。  「次郎長は、極度な人見知りでさ。ここにも滅多に顔を見せねえんだ。ほとんどラインかライン通話かオンラインゲームのマイク、機嫌が良けりゃ、たまあにスカイプで顔を見せてくれる。  会費を払わねえ月もある。そんな時は、奴から連絡があるのを待つんだよ」  竜平と交代するように、龍也が尚の前に座った。
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