四 尚の秘密

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「言ったろ、みんな不器用で変わった奴ばかりだって。  だからほら、ここのルール。  迷った時は、これを見てくれよ」  さっきまで、机の中を探していたのは、この巻紙だったのだ。 「そんなルール、誰も覚えていないがな」  竜平が茶々を入れる。  「うっさい」  式辞用の折り畳み巻紙は、ご丁寧に表紙に包まれていた。  龍也がわざと大げさな仕草で、表紙を開け中身を取り出した。 「わ、すごい達筆! 誰が?」  開くと、見事な草書で書かれた文字が。 「俺様だよ」  龍也が自慢げに親指で己の胸を指した。 「タツは馬鹿だが、文字だけはうまいのさ」 「リュウ、いちいちうるさい」  尚は中身を丁寧に広げ、最初の文を読もうとした。 「……達筆すぎて、何書いているのか読めない」 「ええ~、」  龍也ががっかりして、自分で読み始めた。 「倶楽部法度」 「はっと?」 「そ、新選組の局中法度書ってのを真似したんだ」 「ふ~ん」
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