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「言ったろ、みんな不器用で変わった奴ばかりだって。
だからほら、ここのルール。
迷った時は、これを見てくれよ」
さっきまで、机の中を探していたのは、この巻紙だったのだ。
「そんなルール、誰も覚えていないがな」
竜平が茶々を入れる。
「うっさい」
式辞用の折り畳み巻紙は、ご丁寧に表紙に包まれていた。
龍也がわざと大げさな仕草で、表紙を開け中身を取り出した。
「わ、すごい達筆! 誰が?」
開くと、見事な草書で書かれた文字が。
「俺様だよ」
龍也が自慢げに親指で己の胸を指した。
「タツは馬鹿だが、文字だけはうまいのさ」
「リュウ、いちいちうるさい」
尚は中身を丁寧に広げ、最初の文を読もうとした。
「……達筆すぎて、何書いているのか読めない」
「ええ~、」
龍也ががっかりして、自分で読み始めた。
「倶楽部法度」
「はっと?」
「そ、新選組の局中法度書ってのを真似したんだ」
「ふ~ん」
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