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新選組は、歴史の授業では出てこない。こんな人たちがいたよ、な程度で通り過ぎたから、尚にはその法度書ってのもわからない。
「一、メンバー間での金銭の貸し借り禁止
一、メンバー内での恋愛は禁止
一、メンバー外への鍵の譲渡は禁止
一、メンバー外へ、メンバーの秘密を漏らすは禁止
一、個人情報はメンバー外に漏らしてはならない
以上。」
常識の範疇な内容だ。
尚はふんふんと納得しながら聞いていたが、
「あの、メンバー間の恋愛って……ミサさんを巡って?」
どれだけのメンバーがいるのか知れないが、今のところ女は、未沙だけの様だ。
「他にも女が来るかもしれねえしよ、それにナオだって危険じゃん」
――男か女かあいまいだから?
尚の表情が陰る前に、龍也の首に竜平の腕が巻き付いた。
「うえっ」
「馬鹿は言葉も選べんのか?」
竜平の態度は冷たい。
「お、おまっ、だってよ、げほ、ナオが男だったら、余計やばっ」
首を絞める竜平の顔はまるでポーカーフェイスだが、腕には益々力が入ったのか、龍也が白目を剥いた。
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