四 尚の秘密

15/17
112人が本棚に入れています
本棚に追加
/496ページ
 新選組は、歴史の授業では出てこない。こんな人たちがいたよ、な程度で通り過ぎたから、尚にはその法度書ってのもわからない。 「一、メンバー間での金銭の貸し借り禁止  一、メンバー内での恋愛は禁止  一、メンバー外への鍵の譲渡は禁止  一、メンバー外へ、メンバーの秘密を漏らすは禁止  一、個人情報はメンバー外に漏らしてはならない  以上。」  常識の範疇な内容だ。  尚はふんふんと納得しながら聞いていたが、 「あの、メンバー間の恋愛って……ミサさんを巡って?」  どれだけのメンバーがいるのか知れないが、今のところ女は、未沙だけの様だ。 「他にも女が来るかもしれねえしよ、それにナオだって危険じゃん」  ――男か女かあいまいだから?  尚の表情が陰る前に、龍也の首に竜平の腕が巻き付いた。 「うえっ」 「馬鹿は言葉も選べんのか?」  竜平の態度は冷たい。 「お、おまっ、だってよ、げほ、ナオが男だったら、余計やばっ」  首を絞める竜平の顔はまるでポーカーフェイスだが、腕には益々力が入ったのか、龍也が白目を剥いた。
/496ページ

最初のコメントを投稿しよう!