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――このあとどうしよう。
ひと通り説明は聞いた。
正直、疲れた。
こんなに他人と話をするのは、本当に久しぶりだから。
しかも自分の秘密を、初対面の人間相手に、べらべらと打ち明けてしまった。
尚は気持ちが顔に表れやすいのだ。
すかさず竜平が、尚の表情を読みとった。
「ナオ、疲れたのなら、そこで横になると良い。
どうせ、タツはもうすぐゲームの時間だ」
竜平が紺地のタータンチェックのブランケットを尚に投げた。
ウールマークの付いたブランケットは、少しばかりチクチクしたけれど、ほんのり個性的で上品な香りがした。
――いい匂い。
ブランケットに顔をうずめる。
最初に部屋に入った時に感じた香りだ…… エキゾチックで官能的な……
「イランイランだ」
竜平の声が聴こえた時には、瞼が重くなっていた。
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