4人が本棚に入れています
本棚に追加
土曜日 午後二時四十五分
蛍光灯の無機質な青白い明かりが照らしだすサブフロワァーにある通路を “コツ、コツ” と足音を響かせながら、いつもの部屋に向かっていた。
時々その蛍光灯が “ジィッ、ジィッ” と不規則なリズムで音を立てている。
ここに来てからの三年間、自分がやりたい事を、好き放題にやってきた。でも、今日の会議が終れば、もうその様な生活が終るかもしれないとゆう事も、それなりに理解している。
「でも、、、そんなのって最悪だ、この世の終わりだなんて」と独り言をつぶやいてみたが、その反面、 “元々選択なんて、できないのだから、成る様にしか成らない” とゆうような諦めと悟りにも似た気持ちもある。
“まだ誰も来て無いだろう”と思いながら入った、いつもの部屋は、既に会議の準備がされていて、先輩は何時もの様に、しわ一つないパリッとした制服の白いシャツで、マーカーボードの前に用意された椅子に、姿勢良く座って、ファイルを読んでいた。
ただ昨日と違うのは、彼女の腰まであった長い綺麗な髪が、肩に届かないくらいに短く、ボブに切られていた事だった。
部屋の中央にあるマーカーボードには、先輩の読みやすい文字で “この世の終わり” と赤い字で書かれてある。
落着かない気持ちを隠しながら
「何時もながら、早いですね、先輩。」と少しオドケタ声で先輩に声をかけると、
「私にできるのは、これくらいですから。」と言葉短く返事をして、その目を伏せる。
先輩の横に用意された椅子に座り、俺が鞄からファイルや文具等を取り出していると、先輩は静かな声で、
「例の企画の事ですが、私はかまいませんよ。それと、他のメンバにも、できるだけ、早く、話した方が良いと思います、、、あと、あの事も。」と言う。
俺は先輩の手をそっと握り、
「先輩、もう少しの間なので、もうちょっとだけ、我慢して下さい。」とささやくと、
「我慢も何も、私がこうしたいから、やってるだけです。」と答える。
最初のコメントを投稿しよう!