第1章

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雪に誘われるように道を走る。いつもは何気ないこの道も、今この瞬間だけ特別な気がする。 今日こそは伝えるんだ。 「もー!そっちが呼びだして遅れるなんて失礼だよ!」 どうやら来るべき場に来たようだ。 目の前が朧気に見えるのは、雪の仕業なのだろうか。 けれども俺の想い人がいるのは目視できた。 「ね、今日何の日か知ってる?」 俺が頷くのを確認すると、ゆっくり歩み寄り目の前で止まる。 「これ...作ってみたの」 それは、とても温かく、愛情さえも感じた。 よそよそしい返事しかできないまま会話が途絶えた。虚ろな時間が流れる。 「なあ、今日何の日か分かるか?」 「えっ?」 「こんなもんしかあげれなくてごめんな。今日誕生日だろ?」 「うん...」 彼女はマフラーに顔を埋める。 「好きだ」「好きです」 二つの声が重なると同時に、二つの体も重なった。 雪と星の世界の下、今日は俺と彼女だけが知る、特別な日だ。
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