月夜の後悔と、秘密

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「あああああっ! どうしようっ?」 その夜―― 夕食の後片づけと、宿泊客へのサービスドリンクを配り終えた後。 自室に入るなり、ベッドにダイビングした真珠の第一声は、ゴロゴロと転がりながら放たれた。 「ナイわー。あれはナイわー。 いくらテンパったからって、ビンタした挙げ句に『大嫌い』はナイわよ、私ぃ!」 さらにゴロゴロと転がりつつ、夕方の自身の暴挙を悔いる。 「月白さん……。怒ってなかった、よね? どうして? どうして、あんなに優しく笑ってたのかしら?」 そう。 真珠に頬を打たれても、月白は気分を害したそぶりは一切見せてはいなかった。 『大嫌い』と暴言を吐いた真珠に対して、慈しむような笑みを向けて、優しく頭を撫でただけだったのだ。
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