25人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「あああああっ! どうしようっ?」
その夜――
夕食の後片づけと、宿泊客へのサービスドリンクを配り終えた後。
自室に入るなり、ベッドにダイビングした真珠の第一声は、ゴロゴロと転がりながら放たれた。
「ナイわー。あれはナイわー。
いくらテンパったからって、ビンタした挙げ句に『大嫌い』はナイわよ、私ぃ!」
さらにゴロゴロと転がりつつ、夕方の自身の暴挙を悔いる。
「月白さん……。怒ってなかった、よね?
どうして? どうして、あんなに優しく笑ってたのかしら?」
そう。
真珠に頬を打たれても、月白は気分を害したそぶりは一切見せてはいなかった。
『大嫌い』と暴言を吐いた真珠に対して、慈しむような笑みを向けて、優しく頭を撫でただけだったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!