紅い月と、彼の告白

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「――――緋艶之望月(ひえんのもちづき)の日。 毎年その夜、真珠さんはいつもここの裏手の森で舞を奉納されておられますよね?」 「え? あの、その通りですけど……。 どうして、月白さんがそのことをご存知なんですか?」 緋艶之望月(ひえんのもちづき)とは、年に一度だけ現れる、特別な満月のこと。 月と地球との距離が最も近づくことにより、通常よりも大きな満月となるのだが、真珠の一族の本拠地である、ここ東北では、その夜必ず紅い月がのぼる。 その月を真珠たちの一族、緋月(あかつき)一族は、緋艶之望月と呼んでいるのだ。 そしてその夜、一族の長の娘が月に舞を奉納するのが、遥か昔よりの習わしとなっている。 長の娘。つまり、真珠のことである。 「幼い頃、舞を舞うあなたの姿をひと目見て以来、ずっとお慕いしてきました。あなたは覚えておられないでしょうが、私たちは昔、会っているのですよ」 「えっ、本当ですか?」 「あれは、60年に一度の祭事(さいじ)が行われた年です。 あなたは、今と変わらずお美しくて……私の初恋でした」 60年に一度の、祭事? …………あっ、あの時!? 「あ、あれは確か、10年くらい前じゃ……」 「11年前です。私が、7歳の時でした」 「な、なな……」 くらり、と目眩を起こしかけた真珠である。 11年前に7歳ってことは……ことはぁぁ!
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