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「出来るまで待ってるから、本当に急がなくていいぞ?」
月白が、壁に掛けた時計に目をやってから、手にしていたマグボトルを渡してきた。
「これ、サンキュ。夜中に喉が渇いた時に、助かったよ。旨かったしな」
真珠が、泊まり客へのサービスで夕食後に配っているマグボトル。
好みの飲料を持参してくる客も居るが、庭で収穫した金柑や柚子を蜂蜜と合わせた、真珠特製のこのドリンクは、常連には大人気だ。
「あ、お口に合って良かったです」
月白の「旨かった」という言葉に、また頬が熱くなる。
良かった。喜んでもらえた!
差し出されたマグボトルを、そっと受け取った。
手が触れないように、気をつけて――
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