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「あぁ……どうしよう。どうしよう。
こんなの初めてで、どうしたらいいか、全然分かんないよー。
しかも、昨日初めて逢った人なのよ?」
キッチンで夕食の下ごしらえをしながら、月白のことを想っては顔を赤らめたり、しかめたり。
忙しい百面相の真っ最中の真珠である。
ブツブツと呟き続けるその間も、アスパラガスのはかまを丁寧に取り除く手は止めていないが。
「真珠、ちょっと出掛けてくる。後は頼んだぞ」
「あっ、お父さん。うん、任せて」
びっくりしたぁ。
聞かれてないよね? 私の独り言。
「テツさんのところに行ってくる。地鶏の良いのが手に入ったらしい。
今夜のトマト鍋に使おう」
「わ、いいね! テツおじさんによろしくね」
麓にある食肉店の経営者は、真珠の父親と気が合う為、良い肉をいつも優先的に振り分けてくれる。
いつも思うけど、不思議。
テツおじさんとお父さん。何でこんなに仲が良いのかしら?
お父さんたら、いつもローテンションだし、ブスッとしてるし。
全然、面白味もなぁんにもないのにねぇ。
まぁ。我が父ながら、年齢の割にはイケメンだと思うけど……。
自分も全く同じ整った顔立ちをしているのに、他人事のような感想を抱いてウンウンと頷いている真珠だった。
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