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次の日、実里は普通にハカリに顔を出した。
2年A組…それが彼女が在籍しているクラスである。
どんなクラスか…とりあえずバカがたくさんいるとだけ言っておこう。
「最近、うちの高校の中で女子の行方不明事件が結構あるって…。」
「美人の女の子ばかりさらうのか…やっぱりエロオヤジの仕業だよ。
真面目にオシャレしてさらわれるよりも、何もしていないブスの身の安全が確実ってちょっと不公平。」
行方不明の女子は、かなりオシャレにめかしこんだ美少女しかいなかった。
エロオヤジの犯行なのはほとんど確定だろう。
「てか、この一件でハカリの女子なのにさらわれなかったら世間的にブス確定じゃん!
ヤバいよ、早くさらってもらわなきゃ!」
無知なバカが騒ぎ立てる。
「みんなで頑張ってさらわれなきゃ!
とりあえず、エロオヤジの出現場所洗っといて!」
専門家じゃないのに、女はプライド守るには必死だ。
てか、まだエロオヤジが実行犯だと決まったわけでもないのだが。
(アホしかいないのか、ここのやつらは。)
青春の若気の至りでもあるのだけど、実里は冷めた目でにらんでいた。
さらわれてあわよくばイケメンに救助されて恋が始まるとか考えていたら、もうこいつらは止められない。
「みんな元気だねぇ。」
実里の席の近くに、桜色ツインテールのブルーな瞳…童顔の可愛い女子がやって来た。
革沢瑞香(かわざわみずか)…ハカリに入ってからの友人である。
家では変なポプリや香水や小物を作ってクラスメイトに売りつけ…学校では怪談話をデッチ上げて広め、騒ぎを楽しむ騒がしい女だ。
「あんたの入る余地は無さそうだ。」
人さらいと怪談…どっちが面白いかはおそらく前者かもしれない。
事実だし。
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