こいつがいたら退屈も無いだろう

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「エロオヤジにさらわれる美少女なんかそうそういないのにムキになっちゃって。」 瑞香は相手がいないのが不満だった。 今日も面白い話をデッチ上げにきたのにエロオヤジに負けるとは、噂屋の看板に傷がつく。 人間、エロスには勝てんなと本能的欲求を恨むのだ。 「エロオヤジのインパクトには勝てんわ。 …諦めることだね。」 この際だから、ウザいオカルト話はすっぱり捨てて欲しいと思う。 実里も結構瑞香の話を聞かされているのだ。 友人であるならなおさらだ。 「エロスに負けて噂屋廃業してたらたまらないわよ。 実里も世界最強がエロ本だなんて、そんな世界なんか嫌じゃない。」 別にエロ本だろうが何だろうが学校の教科書がエロ本でなきゃいいんだが。 「あたしは別に漫画や小説とかは読まないよ。」 実里の趣味は特に無い。 昔はいろいろあったが、女を半ば捨ててからはそちらもバカバカしくなった。 自堕落をしているわけでもないが、本気で取り組むことが虚しくなっただけである。 綺麗事ばかり見ているお嬢様の言葉なんか、実力社会の現代では何の意味もないし。 女の武器なんかエロスしかないと言いきられては、品の良さも役には立たなかった。 ハーブとか花とか育てるのも好きだったんだが、今は株も瑞香に譲ってしまった。 その結果のひとつが怪しいポプリとか言われては、世の中の皮肉さを笑うしか出来ない。 「エロ本といえば写真集じゃん…漫画や小説を思い浮かべるとは、隠れて読んでるな?」 瑞香の指摘は半ば当たりではあった。 「両親が読んでるんだよ。」 幼い頃、探し物を取りに部屋に偶然立ち入った時に見つけたとき…何も知らずに読んだきりだなと実里は思い出した。
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