こいつがいたら退屈も無いだろう

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放課後…。 「実里、どうしてあいつらをつき出したの。」 不満なのは瑞香も同じだった。 何を飲ませるか分からない瑞香は修学旅行にスキが作れんと不満たらたらだ。 帰宅の足取りが重い。 「2ーBの彼に告るチャンスだったのに。」 瑞香は地面を蹴った。 「何で修学旅行なんだよ…そもそも、そいつは彼女がいなかったか? まだ諦めてないのかよ。」 桜のおまじないをデッチ上げた時に告ろうとした学生だ。 瑞香には花びらを集めるのは無理だったけど。 「もしかしたら、いつか別れるかもしれないじゃん。 今の彼女、あたしの噂に乗らなかったし。」 「オカルトに、どう乗れって言うんだ…。」 身勝手な話だが、女は恋愛には勝てない。 流言流されないだけましと言えるが。 「世の中には不思議が満ちてるし。 理解しない方が間違ってるんだよ。」 ぶつくさ文句をたれる瑞香だが…ものわかりはいい。 これ以上の一線を超えることはないと思う。 「瑞香…変な宗教みたいなセリフはやめな。」 「何でよぉ。」 こんな趣味と性格なら、次の相手探しは無理だろう。 個性が強いのも、難儀なものだった。 瑞香みたいな人間に本当に彼氏が出来るとしたら、きっとそれは人間ではないと思う。 彼女は人外との関わりを強くした方が幸せかもしれない。 実里の奇妙なカンはなぜか当たる時があるのだ。 まるで予言のように。 しかし、院長先生に紹介しようにもアルバイトより噂屋の方が楽しい瑞香。 たぶん乗ってこないと思う…掃除屋なんてやっている実里は学校でも孤立しているから瑞香は唯一の腐れ縁だし。 そりゃ、昔はそこそこ友人はいたよ? しかし、今ではすべて逃げてしまった…結局はその程度の仲なのだ。 苦楽をわかつ親友なんて、日常社会にはいない。 どいつもこいつもバカばっかりだ。
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