こいつがいたら退屈も無いだろう

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その後、聖奈と別れた二人は近くのアイスクリームショップに寄った。 「で、音羽ちゃんは元気?」 瑞香は実里の家族にも気をかけてくれる。 「家からは出られないけどね。 ストレス解消だとかで親がネトゲやらせてる。」 実里の両親は共働きだ。 職場結婚で二人は同じ会社に勤めている。 今、大がかりなプロジェクトがあるとかないとか。 だから今、あまり家にいない。 「ネトゲやらせてるって…。」 音羽は、ネトゲが好きなタイプではない。 親はオンライン→コミュニケーションツールとか思ったらしいが。 「しかもRPGだぞ。 本人の好み聞けよ…。」 ぜってぇ後でゲーム仲間として巻き込むつもりだ。 オタクって、こういうところがあるヤツがいるから嫌われる。 「音羽ちゃん優しいから…。」 文句も言わず、つきあう音羽も音羽だが。 違法投棄された妖怪に襲われた被害者とはいえ、治療費は保険適用外だしバカにならない。 生きているだけで穀潰しな自分を許せるほど、音羽は強くはなかった。 つぐみいわく、裏の世界の薬品は秘密保持のコストと利権が絡み…一般人では手が出せず泣き寝入りする場合もあるという。 院長の治療はかなり良心的な部類に入るが、それでも取られるものは取られるのだ。 彼の主である奉領鏡明王がいなくなってからは彼も弱まった。 実里は音羽のためにも彼を探さねばならないが、無駄なコストをかけて助けられる生命を見殺しにするガーディアンの手を借りるわけにもいかない。 ガーディアンの力があれば、たぶんすでに見つかっているかもしれないな。 そもそも、ガーディアンは奉領鏡の組織だし資料もたくさんある。 個人で出来ることにはどうしても限界はあるのだ。
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