こいつがいたら退屈も無いだろう

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ビッ! 実里の後ろから、白い閃光が走る。 ドォンッ! それは彼女の横をすり抜け、彼女の目の前で爆発した。 「…!!」 後ろを振り向くや、悶え苦しむ男。 手には紅色の鞘の日本刀…鞘も刀もあちこち金で縁取られており、古美術品にしてはやけに新しい輝きを放つ。 「俺…違…紅……鏡…!」 どんどん言葉に呂律(ろれつ)が回らなくなる。 「お前…巫女…からか!」 ついには実里に殺気を向けた。 「なっ!」 刀を抜いて突進してくる。 銅のような、紅の太刀。 ほとんど本能で避ける。 シャバとはいえかなり蹴っているから分かるが、人間の動きじゃない。 暴れているようにみえて狙いは正確…しかし、身体がついていかない。 こんなちぐはぐな動きなんか読めない…当たらなかったのは奇跡だな。 とはいえ、何度もかわしきれるとは思わない。 さっさとケリをつけないと、どちらももたないな。 (とりあえず、威力はあるのだから…。) 実里は賭けに出ることにした。 身を屈め、低姿勢から足払いを狙う。 男は案の定、上から跳ぶように攻めてきた。 (…かかった!) 実里は横に転がり、男は刀を突き刺すように落ちてくる。 ザクッ! 刀は深く地面に食い込んだ。 「っ…クソッ!」 刀を引き抜こうと躍起になっている男の後ろにスキが出来る。 ドカッ! そのまま背中モロ出しの男の脳天にかかと落とし。 男は地面の上で気絶した。 「…ふぅ。」 実里は息をつく。
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