エニグドさま

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窓の外には、なぜか紫色の霧。 パンッ、パンッ! 銃声と悲鳴。 何か理解を超えた世界に足を突っ込んでしまう。 「まだ…まだ足りない。」 気がつけば、わりと瑞香の目が据わっている。 「ツブ貝とソーセージの炊き込みご飯で喉を詰まらせたあとキルシュワッサーで割ったアヒージョの油をフランベしたまま飲み干し、耳にカニカマを差し込んで社交ダンスを踊らないと神楽舞が完成しないんだ!」 神楽舞に必要とは思えない単語をつらつら並べ立てる。 「み、瑞香?」 尋常じゃない事態に引き込まれていく実里。 その合間にもエニグドさまなる飛行物質は実里の周りをふよふよ回っている。 ビュン! とりあえず、瑞香に害はなさそうだと知った際…エニグドさまなる飛行物質は実里に向かって体当たりを始めた。 「きゃっ!」 迎撃など不可能で、そのまま実里の胸の中に吸い込まれ…体内から脳に向かって移動する。 瑞香は瑞香で、鏡が宿った後の実里に詰め寄った。 「エニグドさま、エニグドさま…新たな神楽を捧げます! …つぅことで実里、すぐに1万円貸して!」 次は金をせびる。 本当に訳が分からない。 「ぎゃあっ!」 外ではまた誰かの悲鳴。 さっきまで普通の町だったのに気づかぬ間に別の世界になっている。 「特攻じゃ! 人間と神の戦争じゃ!」 近所のおじいさんが高らかに宣戦布告を始めた。 もう、収拾がつかない。 「何なんだ、この状況は!」 この状況を収めることが出来るほど、実里はプロの掃除屋じゃない。 「…!!」 しかし、諦めてはいけないので実里はとりあえず瑞香に蹴りを入れようとするが…身体が動かなかった。
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