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「そういえば、あんたは本当にエニグドさまなの?」
そんなわけがないが、実里は鏡のかけらのことも気になった。
放置もしておけない。
―知らん。―
ぶっきらぼうに鏡のかけらは答えた。
―今の私には記憶も姿もチカラのほとんども無いんだ。
どんな名前でも、お前が好きに呼ぶといい。―
記憶が無いからか、あまり愛着も無いようだ。
しかし、エセ怪談の名前を名乗らせるのはかなり不憫。
だが、良い名前が思い浮かばない。
「ごめん…しばらくエニグドさまでいいかな…?」
実里は考えるのを諦めた。
―だから、好きにしろと言っただろうが。―
謎の物体の名前は、エニグドさまに決定した。
「で、あの霧のことだけど。
二つばかり、あてがある。」
実里は相談相手を提案する。
「まずは、超能力関連の専門家が集まるレモキックガーディアン。
だけど、ガーディアンは好かないメンバーばかりだし借りを作ると後が怖い。
残る方はうちの院長。
動物病院のかたわら、妖怪の治療とかもしている。
信用は出来るけど、今のあたしに院長の声は聞こえない。
通訳はいるけどね。」
―どう考えても、お前の院長に相談だな。
信用出来ない奴には、関わらん方がいい。―
「でも、そうもいかないんだよね。」
実里は肩をすくめた。
「うちの病院、ガーディアンの監視を受けてるし…他にいろいろあってね。」
刀を持って暴れた男のことは約束だから伏せておく。
実里が巫女だってバレると、中立を貫く院長たちがガーディアンに取り込まれるいい口実になるし…。
とはいえ、そうそう隠せるもんじゃないけどな。
データバンクに更新されてるし…。
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