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少年の周りの人間の一人が報告書を読み上げる。
「陽光を追っていたのはユウトです。
おそらく受付を言い負かして陽光をちょろまかしたんでしょう…ユウトは組織育ちの英雄ですからね。」
赤毛の少年の目の色が変わる。
「あのバカヤロウ、俺からすべてを奪い尽くしただけではまだ足りなかったかッ!」
背中から青白い炎が疾る。
ダンッ!
部屋を燃やしかねん勢いだったが、床を殴りつけ…何とか耐えきった。
彼もまたガーディアン内での差別で仕事を奪われている。
戦うためにより強い武器が欲しいのに、それが出来ないのだ。
「正面から当たるなよ。
横流しを繰り返して仕事をもらい…少しずつ力をつけていくんだ。
アルジャンにも情報を流せ。」
アルジャンとは、対ガーディアン組織の表向きテロリストだ。
「銀」を意味するアルジャンの組織のほとんどは民間人だが…幹部の中には噂では神との適合者がいるらしい。
だから、ガーディアンもうかつに手を出せないのだ。
かつてガーディアンが民間人の組織と侮って刺客を送りつけたが、その刺客が幻惑にひっかかってガーディアンに突撃しメンバーの大半に死傷者が出た。
アルジャンの表向きテロリストというのはガーディアンが人間社会の異能技術を隠蔽の結果独占しているため、民間人には防衛や治療技術が無い。
そのために、助かる民間人のほとんどが助からない…アルジャンはそんな民間人を助ける対ガーディアンのレジスタンス組織でもあるからだ。
そういう意味でアルジャンとガーディアンには深い因縁があるから、和解は不可能。
敵の敵は味方というわけだ。
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