掃除屋実里

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傷だらけの犬2匹ともに夜食予定のパンを分けてやる。 とりあえず腹を満たせば落ち着くだろう…あとは引き返して手当てだな。 チワワと柴犬は喜んでパンを食べ始めた。 「ほら、半分ずつだぞ。 足りない分はもう少し待っててな。」 チワワと柴犬は尻尾を振って喜んだ。 実里の言葉が分かるのか…いや…どちらでも構わんか。 実里のバイト先は動物病院なのだ…彼女はそこで清掃員のアルバイトをしている。 里親探しもしてくれるので、こいつらは警察に突き出して実里は動物にかかることにした。 帰り際、寂しげに呟く。 「ガーディアンよりは一般人の方がまとも…ね…どちらもまともな奴らには思えんな。」 何かをされることに優劣などないだろうに。 一般人も超能力者も己の不幸自慢も大概にしてほしい。 超能力者は戦いの刺激と興奮を…一般人は守られ、生み出す平穏を。 どちらも互いにないものを持ち…だのに対極ゆえに相手を妬み…恨まずにはいられない。 だから、どいつもこいつもバカばっかりなのだ。 実里はそういった連中に関わりたくはなかったが、同じ空の下で生きている以上仕方のないこと。 だからこそ、彼女は掃除屋を続けねばならなかった。 どちらに与することもなく。 (それにしても、最近めっきり町の奴らが妙に浮き足立ってきたな。 特にハカリの奴らが…。) 1学期の期末テスト後だからではないようだ。 最近、檸檬降市で刀傷関連の事件が多発している。 ガーディアンの出撃回数も目に見えて増えた。 しかし、刀傷関連の事件が報道されないあたりガーディアンの隠蔽工作…すなわち超能力事件が多発しているということ。
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