瞼を閉じるその先に・・・・

2/10
前へ
/50ページ
次へ
篠崎「百合・・・。」 百合「起きました? 少し身体を起こしますか?」 50年連れ添った俺の愛妻がベッドの横にある窓のカーテンを開ける。 最近は随分と横になる時間が増えた。 窓の外には梅の花が満開に咲いている。 百合「もう少ししたら将太達が遊びに来ますよ。」 背中に大きな枕を挟み、俺のお気に入りのカーテガンを肩にかけてくれる。 篠崎「今日は温そうやな。 庭に出ようか?」 百合「そうですね。」 手を伸ばし、お気に入りの杖を手に取る。 息子の将太が俺の為に誂えてくれたこの杖。 アイツは俺の跡を継いで医者になるという選択をせず、大学で教壇に立ちながら日本の歴史を研究している。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

736人が本棚に入れています
本棚に追加