大切な命

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ある日、過去最大と言われる台風が接近し、市内では大雨洪水特別警報が発令されていた。 玲奈には、緊急招集がかかり、消防本部に待機するといって家を出た。 この日は、これまで経験したことがないような大雨が降り、道が川のようになっていた。 あまりの雨の強さに、少し不安を感じながら家にいると、玲奈から電話がかかってきた。 「おとうさん、念のために高台の避難所に行ってくれる?」 私は、玲奈の指示通り、家を出て避難所に行くことにした。 避難所に到着して間もなく、市内に緊急放送が流れた。 大雨で、川が決壊し、市内が洪水になっているという。 私が住んでいる賃貸マンションは、少し小高い場所にあるため川の決壊は大丈夫だが、土砂崩れの危険があるため、玲奈が避難するように連絡をくれたようだ。 私は、4年前の大震災を思い起こしていた。 また、避難所で過ごすことになるとは、思ってもいなかった。 私は、避難所の屋上に行って、市内の様子を見たが、4年前の大震災と同じような光景を目の当たりにした。 この地域には、なぜこんなに災害が発生するのか、運が悪いとしかいいようがなかった。 雨は、一晩振り続け、私は1人避難所で、不安な一夜を過ごした。
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