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台風の混乱が落ち着いた頃、消防署の署長と玲奈の上司が、自宅に挨拶に来てくれた。
玲奈の上司が、玲奈の当日の状況を説明してくれたが、玲奈は濁流に飲み込まれた母子を助けようとしたが、玲奈自身も濁流に飲み込まれてしまったという話だった。
玲奈の上司が、玲奈を助けることができなくて、本当に申し訳ないと謝罪してくれた。
私は、消防署の署長と玲奈の上司を責めるつもりもないため、玲奈がお世話になったこと、わざわざ挨拶に来てくれたことに対するお礼を言った。
ひとりぼっちになった私は、途方にくれていた。
生きる気力も失っていた。
こんな私に、1本の電話が入った。
電話の相手は、震災と台風で家族を亡くした人への支援を行っているボランティアだという話だった。
話しを聞いた私は、支えてもらう側ではなく、私もボランティアに参加していきたいと伝えた。
まったくの思い付きだった。
ボランティアに参加してみると、私と同じように家族を失って、悲しみに耐えている人が大勢いることを知った。
特に、大震災や台風で両親を失った孤児、片親を亡くした遺児が、大勢いることを知った。
私は、この子供たちへの支援をしていくことにした。
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