大切な命

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翌日、まずは食料と水を確保しようと考え、スーパーやコンビニに行ったが、皆考えることは同じで、長蛇の列ができていた。 店が開店したと思ったら、お弁当やおにぎりなどは、あっという間に売り切れてしまい、とりあえず少しでも食べ物を確保しようと考えた私は、売れ残った野菜や果物を買った。 避難所では、子供や老人、女性優先に、食料や水が配給されていた。 玲奈は、パンと水を受け取ることができたようだ。 私は、少し休憩して、香織と翔太を探しに出ようと考えた。 この日も、香織と翔太の携帯電話に連絡したが、電話は通じなかった。 携帯電話の回線自体は、昨日から復旧しているようだが、香織と翔太とは連絡が取れなかった。 何しろ電気がまだ復旧していないため、携帯電話のバッテリーが切れている可能性もある。 私は、ソーラーチャージャーを持っていたため、これを使って携帯電話の充電をしていた。 私が、香織と翔太を探しに出ると言うと、玲奈も不安になっているようで、 「私も探す!」 と言ったので、一緒に避難所を出た。 玲奈を避難所に残そうかとも考えたが、1人でじっとしているのも不安だろうし、私と一緒にいれば、少しは気もまぎれるだろうと思った。 とりあえず、他の避難所を回ってみたが、香織と翔太は見つからなかった。 次に、避難所の情報を得るために、市役所に行ってみた。 市役所では、開設された避難所の情報と避難所に避難している市民の名前が公表されていた。 私と玲奈は、必死に香織と翔太の名前を探したが、名前は見つからなかった。 まだ、情報が混乱しているようで、私の名前は、地震当日の夜を過ごした避難所と、翌日移動して玲奈と夜を過ごした避難所の2ヶ所に記載されていた。 私は、念のためにこのことを市の職員に伝えて、地震当日の夜を過ごした避難所から名前を削除してもらった。 削除と言っても手書きのため、赤い取り消し線を引いて、別の避難所に移動していることを補足として記載してくれた。 また、その場で地震当日の夜を過ごした避難所にも電話連絡し、同じように削除してもらった。 この点は、意外に迅速に対応が行われていると感じた。 市の職員いわく、離ればなれになってしまったご家族が、できるだけ早く出会えるように、避難所の情報を迅速に提供するように努力しているとのことだった。
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