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私と玲奈は、自宅に行ってみることにした。
すると、想像以上に自宅および自宅の周りは、何もなかった。
全て家ごと流されてしまったような状態で、そこにがれきが散乱しているため、自分の家の場所がどこなのか、はっきりわからないような状態になっていた。
あまりのひどさに、私と玲奈は、言葉を失った。
とりあえず、自宅があったであろう場所を歩き回って、何か残っていないか探索してみたが、何も見つからなかった。
私と玲奈は、あきらめて避難所に戻ることにした。
避難所に戻ると、玲奈の担任の先生に会うことができて、先生から、遺体安置所ができているという情報を聞いた。
考えたくもなかったが、私はその遺体安置所にも行ってみることにした。
遺体安置所は、小学校の体育館に開設されていて、ここに想像以上の遺体が無造作に並べられていた。
あまりの数に驚きながら、私は、香織と翔太を探した。
翔太と同じくらいの年齢の小学生が多く並べられている場所があり、私の不安はピークに達していた。
玲奈と手分けして探していると、玲奈が急に叫びだした。
「おとうさん」
玲奈は、すでに泣き出していたが、あわてて玲奈がいる場所に行ってみると、思わぬ光景に私は愕然とした。
そこには、翔太の遺体があったのだ。
私は、泣き続ける玲奈の体をそっと胸に抱いて、玲奈の頭をなでながら私も一緒に泣いた。
私は、涙が溢れて、止まらなかった。
少し落ち着いてから、玲奈に、香織を探したいと伝えると、玲奈も泣きながら一緒に探してくれた。
隅々までくまなく探したが、香織の遺体は見つからなかった。
遺体安置所の市の職員に、翔太の遺体があったことを伝えると、見つかった遺体の名前や私の連絡先を紙に記載するように言われた。
市の職員に遺体をどうしたらいいか相談すると、ご家族に遺体を引き取っていただきたいが、すぐに引き取れない場合どうするか、遺体の家族が見つからない場合どうするか…といったことは、まだわからないという答えだった。
この混乱の中では、しかたのないことだと思った。
私は、遺体を引き取りたいが、家が全て流されてしまった今すぐには難しいということを伝え、翔太の遺体はこのままこの遺体安置所に置いてもらうことにした。
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