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翔太の遺体は、葬祭業者にお願いして、火葬をしてもらった。
火葬したお骨は、骨壺に入れた状態で避難所に持ち込んで、一緒に寝泊まりするような状態になった。
香織の行方は、まったく情報がなく、絶望的だと感じていた。
避難所での生活が1ヶ月を超えたころ、建設が完了した仮設住宅から抽選が行われていった。
家を失った私は、もちろん抽選に応募したが、最初は倍率が高くて、なかなか当選しなかったが、徐々に仮設住宅の入居者が決まってくると、倍率は低くなっていった。
私が仮設住宅の応募に当選したのは、避難所での生活が2ヶ月を超えた、寒さが厳しくなりつつある12月下旬だった。
私と玲奈は、仮設住宅に入居することで、生活は大きく改善された。
仮設住宅は、決して広くはなかったが、プライベートな面が守られるだけでも、精神的に楽になった。
私と玲奈は、徐々に震災前の生活に戻りつつあった。
仮設住宅で年を越すことができたことは、せめてもの救いだった。
また、玲奈は高校受験を控えていたため、勉強する環境ができたことも幸いだった。
3月に入って、玲奈は高校を受験したが、無事高校に合格できたという連絡を聞いたときは、ほっと胸をなでおろした。
少し温かくなってきた4月、玲奈は高校に入学した。
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