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突然だが、魔女を知っているだろうか。「あの」魔女だ。
大陸ひとつがその国土である、神聖帝国アルミナにはお伽話がある。創世の逸話だ。
神聖帝国アルミナは、もともとは騎士団だった。
彼らは何と戦い、国土を得たのか。それは遠い昔、邪なるものと契約を交わした存在――つまり魔女をこの世から消し去るためだ。
魔女はその契約により人智を越えた力を手にいれ、己の私利私欲のため暴虐の限りを尽くした。
その悪行を看過できぬと立ち上がったのが騎士団だったのだ。
悪魔を宿した魔女たちは、騎士団の正義の名のもとに粛清された。多くは処刑され、その遺体は深い深い闇のなかに封印された。
魔女たちが荒らした土地を再興させ、今の神聖帝国アルミナが成り立ったという。
このお伽話を、人はどこまで信じているのだろう。
けれど僕は知っている。この世には確かに魔女が存在していて、夢物語でもなんでもないのだと。
そして魔女が行くところに平穏など、ありはしないということを。
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