2:奇天烈な客人たち

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 クオーツが嘆息したころ、屋敷のチャイムが鳴る。鐘の音に似ているチャイムすら品があって上等だ。 「最後のお客人ですね」  台所からキャシーが現れる。白いフリルエプロンを軽く整え、一階へと降りていく。濃紺の長いスカートはほとんど揺れなかった。 「あのメイド、なかなかの美人だが。心を強張らせているのかシャイらしい。人と接するのが苦手なら、俺の言葉で心を溶かしてやらねば」 「グレアム。私と数秒前にした会話はなんだったのよ」  見境なく目をつけるのは噂通りらしい。すぐにティアモの刺すような視線が襲い掛かるが、彼は気にする様子はない。  一階の様子はここではわからない。音も、会話もよく聞こえない。クオーツは修羅場直前の空間に居心地の悪さを感じているようだ。ずっと俯いて黙り込んでいる。  階段あたりが騒がしい。乱暴に駆け上がる音がする。大変だ、大変だと言う男の悲鳴が聞こえる。  二階の廊下を突っ切って、息を切らして現れた男は蒼白の面のまま叫んだ。 「魔女だ! 魔女の預言が、届いたんです!」
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