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魔女をご存知だろうか。
悪魔と契約した、邪なるもの。人間が人智を超えた力を求めた末路。許されざる存在――人によって解釈は様々ある。
ただ、好意をもって受け止められる存在でないことは確かだ。
魔女狩り、という運動がある。
魔女を武力と言論で否定する排斥行動だ。魔女信仰は薄れつつあるものの、いまだに魔女というものに脅威を感じる者はいる。それがお伽話の存在であると定義されているとはいえ。
魔女を信じるがゆえに、魔女を否定する。矛盾した感情を抱えた人間が気休めのために行っている行動という人間もいる。
現代、魔女を信じている人間は少ない。
そんななか現れた男性は、気弱そうな男だった。白髪まじりの初老の男性。よれたスーツのせいなのかなで肩のせいなのか、ひ弱な印象を受ける。
「……魔女ォ?」
猜疑心に満ちた反応を示したのはグレアムだ。
「いるわけないだろ、そんなの。おっさん、魔女信仰なら他所でやりな」
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