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「違うんです、本当なんです!」
男性は色素の薄い肌をさらに青くして叫ぶ。細く高い声が一層情けなさを助長する。
「これが、これが入ってたんですから! 屋敷のポストに!」
そう言って男が震える右手で出したのは、一枚のポストカードだ。血のように赤いカードは黒い縁取りがされている。禍々しさを感じる一枚だ。
「これが、何か……?」
クオーツが恐る恐る聞く。よくぞ聞いてくれた、と言わんばかりに男は唾を飛ばして宣言した。
「裏に、こう書いてあるんです……『今宵、死神が訪れる』って!」
「魔女の次は死神ですって? 空想の趣味もないんだけど」
ティアモも信じていない様子で、胡散臭そうに返事をする。クオーツだけが真剣に話を聞いていた。
キャシーの姿はまだない。
「見せていただけますか、それ」
「は、はい」
震える男性の手からポストカードを受け取る。表は装飾以外何も書かれていない。ひっくり返すと、その男が言ったとおりの文言が記されていた。
しかも、妙におどろおどろしいフォントで。
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