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「確かに、そう書かれています」
陳腐なホラー映画のような演出だ。
カードを差し出した男は小刻みに何度も頷く。
「そう、そうなんです。私もこのカードを見た時には嘘だろうと思ったんですが……何せ、前例があるので」
「前例、ですか?」
「はい」
ただでさえ弱く見える肩をさらに落とし、男性は呟く。
「私はサリュと言います。ある事業をしていまして、この村には商品の視察で何度か来るんです。その度にこの屋敷にお世話になってるんですが」
サリュの視線が落ち着かないように泳ぐ。
「前にも赤いカードがポストに入っていて……その通りになってしまって! 私がこの目で見たんですから、これは絶対本当なんです!」
嘘を言っているにしては怯えようが尋常ではない。クオーツはなるほど、と一通り話を聞いてからサリュを落ち着かせようと言葉を紡ぐ。
「分かりました。僕は神聖騎士です。すべての事件を解決する権力を持っているわけではありませんが、お話次第では上に協力を仰ぎますので」
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