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「それにつきましては私からご説明いたします」
抑揚のおさえられた声が響く。皆声の主へと視線を移す。
完璧すぎるメイド、キャシーがサリュの背後から現れた。足音さえ気にならなかった。気配を遮断する力でもあるのでは、と錯覚してしまう。
グレアムの鼻の下が瞬時にのびた。
「キャシーさん」
「サリュ様は月に一回この村にいらっしゃいます。このカードが届くようになったのは、半年ほど前からです」
半年、と噛み締めるようにクオーツが呟いた。
「赤黒く塗られたカードに黒い縁取り。それだけでも不吉な彩りですが、カードには『魔女の預言』と綴られ、近々良からぬことが起こるだろうと書いてありました」
淡々と、しかし滑舌良くキャシーが語るものだから、変な臨場感が出てしまう。サリュが唾を嚥下する音が聞こえた。
「そして、その翌日。サリュ様はご存知ですが、村の民家が一軒、全焼しました」
「燃えたってこと!?」
ティアモは半信半疑の様子だが、両手で口元を押さえて問いかけた。
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