3:魔女の預言

7/12
前へ
/143ページ
次へ
「夜寝ていたら、突然大きな音がしたんです。何か、爆発音のような。慌てて窓から外を覗くと、ブドウ畑の奥で赤々と燃える炎が見えて……」  当時を思い出したのか、サリュはガタガタと身体を震わせている。  グレアムは預言についての反応は見せない。キャシーをロックし、上から下まで視線が往復している。 「カードと火事の明確な因果関係を証明することはできません。騎士団にもそう言われました。しかしその後も不定期ではありますが、赤いカードがこの屋敷に投函され、預言の通りになっているのです」 「こ、今回は死神だって書いてあるんです! つまり、し……死ぬってことじゃないですか……」  サリュの語気はどんどん弱くなり、終わりの方はほとんど聞き取れなかった。言葉にするのも憚られたのかもしれない。  魔女の預言。  サリュとキャシーの言葉を信じるならば、このカードをただの悪戯と片付けるにはいささか楽観的すぎる。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加