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「で、なんだってクオーツ。騎士団は協力できないとか、阿呆なことを抜かしているようだな」
「僕を悪者扱いするような、悪意ある言い回しをしないでもらえますか」
事実なんです、とクオーツは絞り出すように言った。
グルニエはしかしそんなことはさして気にしていないようだ。壁に寄りかかったままクオーツを叱咤する。
「事実だろう? 何故選択肢を狭める。人助けは君がやりたかったことだ。手伝ってあげればいいじゃないか」
「僕にそんな力があるならやってますよ!」
今まで体面を良く見せようと維持していたクオーツが、初めて声を荒げた。言ってから後悔したように唇を噛んだが、弱々しい声でぼそりと言う。
「でも騎士団は、曖昧な預言で動くようなものじゃないんです」
「違う」
クオーツの苦々しい告白にもグルニエは戸惑う素振りは見せない。
「解決するのは騎士団という組織ではない。いるじゃないか。君に動かせる神聖騎士が」
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