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「そんな所でなにしてんだょ。」
「ゥヤッホー、おもしれ!」
僕は奴らに見つかってしまった。
「まあ、素敵な獲物ね、美味しそう。」
二人の肩越しに女が見えた。どうやら危ない人達は三人組らしい。
「こいつはおもしれー。兄ちゃん独りで出てこれるかい。」
「ヒャッホー、そいつぁ無理だ。」
「まあ、そのまましばらく大人しくしてな。」
そう言い捨てると、危ない人達は見えなくなった。ショーンの体は既に冷たくなっていた。僕の目からは、涙でないもっと鉄さびの匂いの液体が溢れた。
「奴らは許せない。」
僕の体は怒りで震えた。
あれからどのくらいの時間がたったのだろうか、僕は動かないショーンを見つめ続けていた。するとバサッという音とともにロープが投げ入れられた。
「カツミ、大丈夫?」
『マリの声だ。』
「ああ、何とか生きてる。」
「よかった、上がって来て。」
僕はショーンを懐に入れてロープにしがみついた。五メートル位は軽いもんだよ。
「ありがとう、マリ。無事だったんだね。よかった。」
「うん、カツミもね。」
僕らは抱きあった。もう二度と離さない、そんな気持ちだった。
僕らは全てのゲージのロックを外し、中にいる犬さんや猫さん、そして少数派の爬虫類の皆さんにそのままゲージにとどまっていてくださいと段取りをつけた。
「僕が合図するまでは、いつものようにゲージの中にいてください。危ない人達を軽く見てはいけません。彼らが、どんな武器を持っているかはわかりませんから。」
「カツミ、鳥さんが応援呼ぼうかって。」
「どんな応援かな。聞いてみて。」
『ショーン、君の死は無駄にしない、必ず。』僕は誓った。
「あの、私の兄をご存知と伺いましたが。」
足元から声が聞こえた。
「ジュディさんですね。」
一目でわかった、ショーンに良く似ている。
「兄が大変お世話になったようで。」
「いいえ、こちらこそ大変お世話になりました。勇気のある立派なお兄さんでした。」
ジュディは目の前で兄を殺されたショックから独りで立てずに仲間に支えられていた。
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