そら戦うよ

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「あなたは、その体で戦うのは無理です。今の内に安全な所へ避難なさった方が…」 「いいえ、一部始終を見させてください。お願いします。」  溢れる涙を拭いもせずに、凛として言い放った。 「カツミ、鳥さんが、この近くに大スズメバチさんの巣があるんだって。」 「うん、協力してもらえるのかな。」  これは、やや戦力に不安があった僕らにはとても力強い助っ人だ。 「彼らも危ない人達に怒ってるから大丈夫だって。」 「それは、是非ともお願いしたいな。」  マリが雀に語りかけると雀は窓から飛びたって行った。僕らは物陰に隠れ、危ない人達を待つことにした。  あれから二時間が経過した。僕らは息を潜め、周囲の音に神経を集中した。遠くにあの大型バイクの音が聞こえてきた。いよいよだ。 「マリ、みんなに合図を待つように確認してくれ。」 「うん、わかった。」  マリはゲージの動物たちに連絡に行った。  バイクの音が、次第にはっきりと聞こえはじめ、やがて扉の開く音が聞こえた。 「ホーラ、新しい仲間、連れてきてやったぜ!ヒャッホー。」 「起きろ、起きろ。」  ゲージが叩かれる音が聞こえてきた。ただ前回と違うのは、悲鳴が聞こえてこない事だ。 「何だこいつら、今日は随分大人しいじゃねぇか。」 「それよりさ、私のオモチャ見に行こう。本当にくれるんだよね。あのかわいこちゃん。」 「ったく、好きにしろや。」  危ない人達は、僕が落ちていたカーゴに向かっていった。 「あらっ、私のかわいいオモチャが消えたよ。」 「おい、よく見ろや。」 「だっていないんだよ。」 「一人で脱け出せる訳ないじゃん、ヒヒッ。」 「どれ…確かにいねえな。」 「逃げちゃったのかな、せっかく遊ぼうと思ってたのに。」  危ない人達の会話が、倉庫内に響いた。 「まだ、そこらにいるんじゃねぇか。」 「それょか、おいら腹ペコ。食ってからにしようぜ。今日は猫肉がいいな。」  僕は合図を送り、動物達はそれぞれの場所に潜んだ。  そして空っぽになったゲージの前に立った僕は危ない人達を待ち受けた。 「おーい、いたぞ。」 「てめえ、なにやってんだ。かわいこちゃん達をどうした。」  危ない人達はかなり興奮気味で、その危険度は振り切れる程だった。 「逃げねえで、ここにいるっつうのはいい度胸じゃねぇか。」 「嬉しいわ、また会えて。仲良くしようね。」 「悪いけれど、君は僕の趣味じゃないな。」
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