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「意外に綺麗にしてるのね。」
「そうかな。特に気をつけてる訳じゃないんだけど。」
「そうなの、でも立派だわ。」
「ありがとう。」
猫からとは言え、普段褒められる事の少ない僕としては意外に嬉しかったりもした。
「ところでいい物って。」
「これなんだけど。」
僕はオズオズと高級な装飾の缶詰を差し出した。
「まあ、どうしてこれをあなたが?」
「美味しそうだと思って買ってきたら、猫フードだったという訳。」
「ふうん、前に犬用のジャーキー食べてた人間は見たことあるけど、このパターンは初めてだわ。」
「取りあえず、食べてみますか?」
「ちょっと見せて。消費期限は大丈夫ね、いただくわ。」
僕は猫も消費期限を気にする事を初めて知った。
「どうぞ。」
缶詰の蓋を開けて近くにあった皿に出した。マリは初めは遠慮がちに、そして次第に大胆に食べ始めた。
「ごちそうさま。美味しかったわ。」
「よかった。」
マリは僕の膝の上にやってきて、ポツリと呟いた。
「暫くここに居ていいかな。」
「もちろん。」
こうして、マリは僕の同居人になったのだった。
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