屋台と恋する二人

6/15
前へ
/374ページ
次へ
あっという間に5時になり、専務が戻ってきた。 「よし。準備できたか?」 「はい。」 「車は下にまわしてある。」 私は薄手のトレンチコートを羽織って事務所の鍵をかけた。 2回目の専務の車。 シートベルトを締めたことを確認してアクセルを踏む。 相変わらず緊張する車内。 多分私だけが緊張してるんだろうけど‥。 何度か事務所のメンバーとの食事はあったけど二人 きりは初めてで、今さら「いいのかな?」と‥。 「あの、いいんですか?二人きりなんて‥変に噂になったら困るんじゃないですか?」 「朝倉は俺と噂になったら嫌か?」 「私は全然いいんです!ただ、専務が‥」 「朝倉は意外と大胆だな。」 そう言うとクスッと笑った。そして、自分の言葉を思い出して真っ赤になる私。 「朝倉、着いたぞ。」 専務は駅前の駐車場に車を停めた。 「少しだけ歩くけど大丈夫か?」 「はい。」 やっぱり夜風はまだ冷たい。 「足元大丈夫か?」 そう言うと私の荷物を持ってくれた。 専務のそんな大人の対応にキュンと胸が高鳴る。
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加