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あっという間に5時になり、専務が戻ってきた。
「よし。準備できたか?」
「はい。」
「車は下にまわしてある。」
私は薄手のトレンチコートを羽織って事務所の鍵をかけた。
2回目の専務の車。
シートベルトを締めたことを確認してアクセルを踏む。
相変わらず緊張する車内。
多分私だけが緊張してるんだろうけど‥。
何度か事務所のメンバーとの食事はあったけど二人
きりは初めてで、今さら「いいのかな?」と‥。
「あの、いいんですか?二人きりなんて‥変に噂になったら困るんじゃないですか?」
「朝倉は俺と噂になったら嫌か?」
「私は全然いいんです!ただ、専務が‥」
「朝倉は意外と大胆だな。」
そう言うとクスッと笑った。そして、自分の言葉を思い出して真っ赤になる私。
「朝倉、着いたぞ。」
専務は駅前の駐車場に車を停めた。
「少しだけ歩くけど大丈夫か?」
「はい。」
やっぱり夜風はまだ冷たい。
「足元大丈夫か?」
そう言うと私の荷物を持ってくれた。
専務のそんな大人の対応にキュンと胸が高鳴る。
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