落とし穴

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……一回二錠。 薬を手に心臓がばくばくと激しく鼓動する。 今のところ副作用は確認されてない、 そうは云われたものの、 やはり未知の薬を飲むのに恐怖はある。 シートから薬を二錠押し出し、掌の上に乗せる。 何の変哲もない、少し大きめの白い錠剤。 ……もし、 あいつが嘘をついてて別の薬だったら? いやいや、 確かにあいつは透明になったじゃないか。 落ち着け、落ち着け……。 何度か深呼吸を繰り返し気を落ち着けると、 俺は一気にその錠剤を水とともに飲み込んだ。 次の瞬間。 どくん! 大きく心臓が鼓動し、 息ができないほど苦しくなった。 ……やっぱり、これ、変な薬だったんじゃ。 止めどなく脂汗を流しながら藻掻き、 後悔したってもう遅い。 やっぱりやめときゃよかった、 薄れ行く意識の中でそんなことを思っていた。
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