2、

4/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
肌着の上に着たガウンの袖をレオナルドは引っぱりながら 「それで、介添えがどうのっておっしゃってましたが」 「床入りの儀式にあたっては、王子は王が、王女は王妃が介添えをするっていうのが通例でね。本来君の介添えは陛下がするはずだったのだ」 「そうなんですか」 「考えてもみたまえ、例えば君がエリカの介添えになったとして、彼女の服を脱がすことが出来るかね?」 「わぁ、きれい」  エリザベスが沐浴後に着せられた真新しい亜麻のシュミーズと薄衣で出来たローブに喜ぶ様子を見て、エリカは自分の事のように嬉しく感じていた。 「それではお先に、お姉さま」  王妃の到着の知らせを受け、エリザベスは嬉々としながら神殿の控えの間を出た。  周囲にいた神官達も随行のために出ていったので、部屋にはエリカとエルフリーデだけが取り残された。 「ねぇ、エルフリーデ」 「はい、エリカ様」 「いいよ、何か言いたいことがあるんでしょ?」 「はい。城内で暗殺が横行しているようです。お食事なさるときは銀の食器をお使い下さい」 「誰か暗殺されたの?」 「鎧で窒息したと言われている騎士を覚えておいでですか?」 「え? うん、そりゃね」 「槍の柄に毒が仕込んであったようなのです。公にはなっていませんが」 「どうやってそれがわかったの?」 「オットー伯の従者が槍を回収に出て、拾い上げてしばらく歩いたら倒れたのです。近くに私の手の者がいて、従者を見たら息が絶えていたそうです」 「そう・・・」 「それで騒ぎになったのですが、いつの間にか槍はそこから消えていた、と」 「誰まで知ってる?」 「その場にいた者の他には私とエリカ様だけです」 「オットー伯の従者と言ったね。もしかして、その死んだ騎士ってオットー伯だったの?」 「はい、試合開始前に紋章官が読み上げたはずですが」 「会場が騒がしくて聞き取れなかったのよ」 「王から不名誉とされたとしても、伯爵の死がまったく話題にも上らないというのも不自然かと思い、お耳に入れたまでです」 「ありがとう、だから好きよ、エルフリーデ」
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!